平等権②:性別による思い込みと社会のしくみを見つめ直そう!

「消防士は男でしょ?」「育児はお母さんがするものでしょ?」

この記事では、日本国憲法第14条に記される「平等権」の視点から、性別による思い込みがどんな問題を生むのか、求人制度・法改正・社会のグラフやジェンダーギャップ指数などを通して、中学生にもわかりやすく解説します!

平等権②

1. 火災現場

カード並び替え問題から見えた「思い込み」

火災現場のカード並び替え

火事が発生A~Fのカードを意味が通じるように並び替えましょう

A 数時間後、消防隊が到着し、がれきの間にいる人を救い出した

B 父親は亡くなってしまった

C あるとき、大きな火災が起き道路に建物が倒れてきた

D たまたま歩いていた父親と、彼の娘は建物の下じきになった

E 消防士は「なんでここに私の娘が!」と悲鳴を上げた

F 彼の娘は、がれきの間にはさまれ、重傷を負った

答え

番号内容
C大火災が発生し建物が倒れる
D父親と娘が建物の下じきになる
B父親が亡くなる
F娘が重傷
A消防隊が娘を救出する
E消防士が「なんでここに私の娘が!」

誤解:「父親が亡くなったのに消防士が“私の娘”と言ってる」
→ 実は消防士は母親だった!
→ 男性と決めつけていた“思い込み”に気づく活動

外科医バージョン(Doctor Xなど)にはイメージが浸透してきているが、消防士はまだ“男”の印象が強い!

2. ポスターのジェンダー表現の問題

大阪府の人権啓発ポスターの例

  • 男性:働いている
  • 女性:育児をして話しかける
    → 一方的に話す構図 → 「男女差別では?」との意見が多数

修正後:男女ともに働き、自転車の絵は分解 → 男女が対話する構図へ変更

見えない偏見が日常にも潜んでいることに気づくきっかけに!

3. 求人と職業名にも平等の流れ

「男性のみ」「女性のみ」などの記載は違法

法律名:男女雇用機会均等法

職業名の変更例:

変更前変更後
看護婦看護師
保母さん保育士
スチュワーデスキャビンアテンダント
父兄保護者

→ 男女問わず働ける環境づくりが進んでいる!

4. 出産と就労のグラフから考える課題

女性(30~44歳)の就労率に「へこみ」がある
→ 原因:出産・育児で仕事をやめる人がいる

生徒のノートから:
「出産後に復職できる制度」「夫婦で育児分担」「短時間勤務の制度」「在宅勤務の充実」などの声

昭和50年と比べると、女性の就労率は上昇中
→ 一方で、“選べる社会”がもっと必要!

法律名:男女共同参画社会基本法

5. ジェンダーギャップ指数から見る現状

世界経済フォーラムによる評価(146カ国中)

分野日本の順位/主な項目
政治113位/国会議員男女比129位・閣僚男女比65位
経済120位/賃金格差83位・管理職男女比130位など

教科書で見たグラフが「見える問題」になっている!

6. インクルージョン(多様な受け入れ)を体験

「誰もが認められて、誰もが安心できる場所づくり」
→ 実際に活動しながら、インクルージョンの大切さにふれました

印象的だった声:「どんな背景の人でも、“自分らしさ”を大切にしたい」

📌 キーワードまとめ

用語意味・内容
平等権すべての人が法の下で平等に扱われる権利。憲法第14条に記載
男女雇用機会均等法求人や採用で性別による差別を禁止する法律
男女共同参画社会基本法男女が対等に参加・活躍できる社会を目指す法律
ジェンダーギャップ指数各国の男女格差を「政治・経済・教育・健康」で数値化した指標
インクルージョン人種や性別などに関係なく、個人の違いを受け入れる考え方

確認問題

❓ 確認問題(選択式)

  1. 平等権が記載されている憲法の条文は?
    A. 第11条 B. 第13条 C. 第14条 D. 第15条
  2. 「男性のみ」「女性のみ」と求人に書くことを禁止している法律は?
    A. 男女共同参画社会基本法 B. 男女雇用機会均等法 C. 労働基準法 D. 憲法第20条
  3. 出産後に女性が仕事を辞めることが多く、就労率に影響が出る年代は?
    A. 20~29歳 B. 30~44歳 C. 45~59歳 D. 60歳以上
  4. 職業名が変更されたものとして正しい組み合わせは?
    A. 看護婦→保育士 B. スチュワーデス→客室乗務員 C. 父兄→保護者 D. 保母さん→看護師
  5. 日本のジェンダーギャップ指数の分野で順位が低かったのは?
    A. 教育と健康 B. 経済と政治 C. 経済と教育 D. 健康と政治

✅ 答え(記号+内容)

  1. C:第14条
  2. B:男女雇用機会均等法
  3. B:30~44歳
  4. C:父兄→保護者
  5. B:経済と政治

✍️ 記述練習問題

  1. 平等権の観点から、性別の思い込みがどんな問題を生むか説明しなさい。
  2. 女性が出産後も働き続けるために、どんな制度や支援が必要か考えて書きなさい。
  3. ジェンダーギャップ指数で日本の順位が低い理由を、政治や経済の視点から説明しなさい。

✅ 解答例

1. 消防士や外科医などに「男性の職業」という思い込みがあると、女性がその職業につくことが難しくなったり、不当な扱いを受けることがあります。思い込みをなくして、誰でも公平に働けるようにすることが大切です。

2. 出産後も働き続けられるように、保育所の整備や短時間勤務の制度、在宅勤務の導入が必要だと思います。夫婦で育児を分担する制度もあると、女性の負担を減らせます。

3. 日本では国会議員や管理職に女性が少なく、男女の賃金格差や働く割合の差が大きいです。そのため、政治と経済の分野でジェンダーギャップ指数が低くなっていると考えられます。

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