「国籍や身分で差別されるって、本当に平等なの?」
「江戸時代の身分制度やアイヌ民族の歴史も平等権と関係あるの?」
この記事では、日本国憲法第14条で定められた「平等権」の意味や保障の内容を、歴史や実際の差別の事例を通して中学生にもわかりやすく紹介。教科書の内容を復習しながら、“法の下の平等”について考えていきましょう!
平等権
1. 平等権とは?
平等権とは
「全ての人間は平等な存在であり、差別されることなく同じように扱われる権利」のこと
日本国憲法第14条(抜粋)
「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により…差別されない」
ポイント:どんな生まれ・どんな立場でも、政治・経済・社会の場面で差別を受けてはいけない!
2. 歴史の中の差別と平等権の流れ
江戸時代:身分制度
- 武士・百姓・町人などの身分に分かれていた
- 支配する側の武士に対し、「えた・ひにん」などの差別される身分も存在
明治時代:四民平等・解放令
- 全ての身分を「平民」とし、法の上では平等に
- しかし、根強い差別は残り続けた
→ 全国水平社が差別解消のために活動
現代:部落差別解消推進法
- すべての人を尊重する社会の実現をめざす法律
→ 差別のない社会づくりが進められている
3. アイヌ民族の歴史と平等権
時代 | 内容 |
---|---|
江戸時代 | 蝦夷地(今の北海道)に住むアイヌ民族が、松前藩との交易で不利益を受け反乱も起きた |
明治時代 | 開拓使が入って北海道を開拓 → アイヌ文化が消えつつあった |
1997年 | アイヌ文化振興法で文化の保護が進む |
2019年 | アイヌ民族支援法で先住民族として法的に位置づけ |
現代 | 「ウポポイ」という施設ができ、文化継承をサポート |
アイヌ民族も差別を受けてきた歴史があり、平等権の観点から支援が続けられている
4. 在日朝鮮・韓国人の歴史と差別
- 日本は1910年に韓国を植民地化(=日韓併合)
- 朝鮮半島から移住した人たちが戦後も日本で生活
→ これが「在日朝鮮・韓国人」と呼ばれる人々の始まり
1965年 日韓基本条約で国交を回復
→ しかし、今でも国籍や文化を理由にした差別問題が残っている場面も…
5. 外国籍とスポーツ:王貞治さんの事例
読売ジャイアンツで活躍した
王貞治さん(台湾出身)
- 通算868本のホームラン → 世界のホームラン王
- 高校時代、甲子園優勝 → 国体出場を決める
- しかし「日本国籍ではなかったため」出場できず
現在では国籍に関係なく出場できるように制度が見直された
→ 朝鮮高級学校も出場例あり(例:大阪のサッカー全国大会)
国籍や民族に関係なくチャンスがあることが「平等権の実現」といえる
📌 キーワードまとめ
用語 | 説明 |
---|---|
平等権 | すべての人が差別されず、同じように扱われる権利。憲法第14条に記載 |
四民平等・解放令 | 明治時代に身分制度をなくし、えた・ひにん身分の人々も平民とされた政策 |
全国水平社 | 部落差別を解消するために設立された団体 |
アイヌ民族支援法 | アイヌ民族を先住民族と認め、支援するために作られた法律 |
日韓併合 | 1910年に日本が韓国を植民地とした出来事 |
在日朝鮮・韓国人 | 朝鮮半島から移住して日本で生活している人々(戦前からの背景を持つ) |
王貞治さん | 世界のホームラン王。国籍による差別の事例として紹介 |
ウポポイ | アイヌ文化を伝えるためにつくられた北海道の施設 |
確認問題
❓ 確認問題(選択式)
- 平等権が記載されている憲法の条文は?
A. 第12条 B. 第13条 C. 第14条 D. 第15条 - 江戸時代に差別されていた身分として正しいものは?
A. 武士 B. 百姓 C. えた・ひにん D. 町人 - アイヌ民族が法的に先住民族と認められた年は?
A. 1997年 B. 2005年 C. 2019年 D. 2023年 - 王貞治さんが国体に出場できなかった理由は?
A. 怪我していた B. 年齢制限 C. 国籍がなかった D.出場枠がなかった - 明治時代に身分制度をなくした政策は?
A. 大政奉還 B. 解放令 C. 教育勅語 D. 平民法
✅ 答え(記号+内容)
- C:第14条
- C:えた・ひにん
- C:2019年
- C:国籍がなかった
- B:解放令
✍️ 記述練習問題
- 平等権とはどのような権利か、日本国憲法の条文の内容をふまえて説明しなさい。
- 王貞治さんの事例から、現在のスポーツの制度がどのように改善されたかを説明しなさい。
- アイヌ民族が差別を受けてきた歴史と、現在の支援について説明しなさい。
✅ 解答例
1. 平等権はすべての人が法の下で平等に扱われ、性別や身分、出身地などで差別されない権利のことです。日本国憲法第14条に記載されていて、政治や経済、社会の場面での差別を禁止しています。
2. 王貞治さんは台湾出身で日本国籍がなかったため、高校時代に国体へ出場することができませんでした。その後、このような国籍による差別が見直され、現在では国籍に関係なくスポーツ大会へ出場できる制度に改善されました。
3. アイヌ民族は江戸時代や明治時代に差別や文化の消失を経験しました。現在では「アイヌ民族支援法」がつくられ、法的に先住民族として位置づけられました。また、「ウポポイ」などの施設で文化や伝統を伝える活動も進められています。