冷戦から「見えない戦争」へ。平和な世界を作るための処方箋

皆さん、こんにちは!「社会人先生」です。今日も楽しく公民を学んでいきましょう。

「世界から戦争がなくなる日は来るの?」 誰もが一度は抱くこの疑問。平和を願う気持ちは世界共通ですが、残念ながら今この瞬間も、地球のどこかで争いが続いています。

現代の争いは、昔の教科書に載っているような「目に見える戦い」だけではありません。今回は、最新の「新しい戦争」の形や、核兵器をめぐる日本の複雑な立場についてスッキリ解説します!

平和な世界に向けて


1. 「古い戦争」の形:冷戦と熱戦

第二次世界大戦後、世界はアメリカを中心とする西側諸国と、ソ連を中心とする東側諸国が激しく対立しました。これを冷戦(冷たい戦争)といいます。

  • 熱戦:実際に銃を撃ち、火花を散らして戦う戦争。
  • 冷戦:直接は戦わないけれど、経済、軍事、思想で激しく対立している状態。

直接戦わなかった米ソですが、アジアでは両国の代理として「朝鮮戦争」などの激しい代理戦争が起こりました。


2. 冷戦の終結:マルタ会談から新しい時代へ

長く続いた冷戦も、1989年に終わりを迎えます。アメリカのブッシュ大統領とソ連のゴルバチョフ大統領が地中海のマルタ島で会談し、冷戦の終結を宣言しました。

💡 豆知識:ソ連軍を苦しめたのは「高さ」だった? ソ連がアフガニスタンを占領しようとした際、兵士たちを襲ったのは敵の攻撃だけではありません。標高の高さによる「高山病」です。十分な対策をしていなかったソ連兵は次々と倒れ、これが撤退の大きな理由の一つになりました。


3. 「新しい戦争」:地域紛争・テロ・サイバー空間

冷戦が終われば平和になる……そんな期待は、新しい形の争いによって打ち砕かれました。

  • 地域紛争とテロ:超大国の重石が取れたことで、民族や宗教の対立が噴き出しました。
  • サイバー攻撃:今の戦争はコンピューターの中でも起きています。相手国の電気や水道などのインフラを停止させる攻撃は、目に見えない脅威です。
  • 宇宙空間での攻防:GPSや通信衛星は軍事的に極めて重要です。衛星を破壊したり、ジャミング(妨害)したりする「宇宙の覇権争い」が現実のものとなっています。

4. 軍縮に向けての取組:NPTと核兵器禁止条約

核兵器を減らすために、世界は二つの大きな約束を作っています。

  1. 核拡散防止条約(NPT):核を持つ国を増やさないための条約です。
  2. 核兵器禁止条約(TPNW):2021年に発効。核兵器の開発、保有、使用を「完全に禁止」する、より厳しい条約です。

日本の立場

日本は唯一の戦争被爆国として、「核兵器のない世界」を誰よりも強く願っています。しかし、現時点で日本は核兵器禁止条約には署名していません。 それは、北朝鮮などの核の脅威にさらされる中で、日本が非核保有国と核保有国の「橋渡し役」になろうとしているからですが、国内外でこの対応をめぐる議論が続いています。


5. 核兵器の恐怖:広島・長崎の教訓と「核の傘」

広島・長崎に落とされた原子爆弾は、一瞬で街を焼き尽くしました。

  • 広島:平坦な三角州だったため、被害が均等に広がりました。
  • 長崎:山に囲まれていたため、被害範囲は山に遮られました。

日本が抱える「核の傘」の現実

日本は「核を持たず、作らず、持ち込ませず」という非核三原則を掲げています。 しかし、自国で核を持たない代わりに、アメリカの核抑止力によって安全を守ってもらっています。これを核の傘といいます。 「核廃絶」を訴えながら「核に守られている」というこの矛盾は、日本の安全保障における非常に大きな、そして難しいテーマなのです。


6. 基礎用語の確認問題(5問)

【問1】 1989年、米ソの両首脳が冷戦の終結を宣言した会談を何といいますか。

【問2】 相手国のネットワークを攻撃し、機能を停止させる「目に見えない攻撃」を何といいますか。

【問3】 核兵器を持つ国をこれ以上増やさないことを目的とした条約を何といいますか。

【問4】 日本が掲げている、核を「持たず・作らず・持ち込ませず」という原則を何といいますか。

【問5】 他国の核抑止力によって自国の安全を確保する仕組みを、比喩的に何といいますか。


7. 基礎用語の確認問題の答え

【問1】 マルタ会談

【問2】 サイバー攻撃

【問3】 核拡散防止条約(NPT)

【問4】 非核三原則

【問5】 核の傘


8. 入試に出る記述問題

【問題】 日本が「核兵器禁止条約」に参加していない背景には、どのような安全保障上の理由があるか。「核の傘」という言葉を使って説明しなさい。


9. 答え

【解答例】 日本は唯一の被爆国として核廃絶を願っているが、現実にはアメリカの核の傘による抑止力に依存して国の安全を守っているため、核保有国と非保有国の対立を深める恐れがある同条約への参加を慎重に判断しているから。


10. まとめ

  1. 戦後の冷戦はマルタ会談で終結したが、代わりに地域紛争が多発するようになった
  2. 現代の「新しい戦争」はサイバー攻撃や宇宙空間での攻防など、形を変えて進化している
  3. 核軍縮のためにNPT核兵器禁止条約があるが、国ごとの利害対立が続いている
  4. 日本は唯一の被爆国でありながら、米国の核の傘に依存するという難しい立場にある
  5. 非核三原則を守りつつ、どうやって「核のない世界」を実現するかが、私たちの世代の大きな課題である

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