皆さん、こんにちは!「社会人先生」です。今日も楽しく公民を学んでいきましょう。
「自分の家が突然壊されて、明日から別の国で暮らしてください」と言われたら、あなたはどうしますか?
平和な日本にいるとなかなか想像しにくいことですが、世界には今この瞬間も、命を守るために必死で逃げている人々がいます。今回は、増え続ける「難民」の現状と、解決に向けた世界の動きをスッキリ解説します!
難民問題
1. 世界の難民は「日本の人口」と同じ!?
まず、難民とは、戦争や紛争、迫害、あるいは自然災害などによって命の危険を感じ、「元々暮らしていた場所から周辺国などへと逃げこむ人たち」を指します。
世界の難民の数は現在、なんと約1億2000万人にものぼります。
豆知識:日本の人口と同じ!? 日本の総人口は約1億2000万人です。つまり、日本人全員と同じ数の人々が、自分の国に住めなくなり、世界中で避難生活を送っているということなのです。
難民を守る約束「難民条約」
こうした人々を守るために、1951年に難民条約が結ばれました。 この条約では、難民を「命の危険がある国に強制的に送り返してはいけない(追放及び送還の禁止)」といった重要なルールが決められています。日本も1981年にこの条約に加わっています。
2. なぜ「難民」が発生してしまうのか?
家を捨ててまで逃げなければならない理由は、主に3つあります。
- 地域紛争(戦争):ロシア・ウクライナ戦争、イスラエル・パレスチナ問題、シリア内戦など。
- 貧困:経済的な理由で生活が立ち行かなくなる。
- 気候変動:地球温暖化による深刻な干ばつなどで、食べ物が作れなくなる。
3. 難民への援助:国連の守護神「UNHCR」
世界中で増え続ける難民を救うため、中心となって活動しているのが国連の機関UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)です。
UNHCRの主な取り組み
- シェルター(避難所)の提供:テントや簡易住宅を建てて、住む場所を作ります。
- 物資の支援:安全な水、食料、毛布、薬などを届けます。
- 保護と教育:子どもたちが教育を受けられるよう学校を作ったり、人権が守られるよう監視したりします。
かつて、日本人の緒方貞子(おがた さだこ)さんがトップ(高等弁務官)を務め、世界中の難民キャンプを飛び回って支援を指揮したことでも有名です。
4. 難民問題の解決に向けて:ヨーロッパの苦悩
難民を多く受け入れている地域の一つがヨーロッパです。特にドイツなどは人道的な理由から多くの難民を受け入れてきました。しかし、そこには新たな「対立」も生まれています。
- 受け入れ側の悩み:難民が増えることで、仕事の奪い合いや、言葉・文化の違いによるトラブル、公共料金や福祉の負担増などが問題になっています。
- 国内の対立:一部では「難民を助けるべきだ」という意見と、「自分たちの生活を守るために受け入れを制限すべきだ」という意見が激しくぶつかり、社会の分断が起きている国もあります。
単に「助ける」だけでなく、「どうやって一緒に暮らしていくか」が今、世界中で問われています。
5. 戦争の恐怖と向き合う:広島・長崎からの教訓
難民を生む最大の原因「戦争」の恐ろしさを、私たちは忘れてはいけません。 日本の広島や長崎に落とされた原子爆弾は、一瞬で街を破壊し、逃げる場所すら奪いました。
広島は平坦な三角州だったため、被害が均等に広がりましたが、長崎は山に囲まれていたため、威力は長崎の方が強かったものの、被害範囲は広島の方が広かったと言われています。
現代の核兵器は、当時のものよりはるかに強力です。一発で九州全体を跡形もなく吹き飛ばせるほどの威力を持つものさえあります。こうした絶対的な破壊をもたらす兵器や戦争がある限り、難民問題は解決しません。広島・長崎の経験を「平和を守るための決意」として世界へ発信し続けることが大切です。
6. 基礎用語の確認問題(5問)
【問1】 1951年に採択された、難民の定義や権利を定めた国際的な約束を何といいますか。
【問2】 国連の機関で、難民の保護や支援を専門に行う組織の略称を何といいますか。
【問3】 UNHCRのトップ(高等弁務官)を10年間務めた日本人は誰ですか。
【問4】 日本の人口(約1.2億人)とほぼ同じ数と言われている、世界の現在の何民数は約何億人ですか。
【問5】 安全保障理事会において、ずっとメンバーであり続ける5カ国を何といいますか。
7. 基礎用語の確認問題の答え
【問1】 難民条約
【問2】 UNHCR
【問3】 緒方貞子
【問4】 約1.2億人
【問5】 常任理事国
8. 入試に出る記述問題
【問題】 近年、ヨーロッパ諸国などで難民の受け入れをめぐって国内で対立が起きているのはなぜか。「生活」と「負担」という言葉を使って説明しなさい。
9. 答え
【解答例】 難民を受け入れることで、治安の悪化や仕事の減少といった住民の生活への不安が高まるとともに、医療や福祉などにかかる社会的な負担が増えることに対し、受け入れに反対する声が強まっているため。
