人間らしく生きるための盾 ―― 社会権の正体

皆さん、こんにちは!「社会人先生」です。今日も一緒に社会科の公民について学んでいきましょう!

前回の「自由権」は、国家から邪魔されない権利でした。対して今日のテーマは、私たちが人間らしい豊かな生活を送るために国家に対して求める権利、社会権です。

「人間らしい生活」とは一体どんなものか、具体的なお話から考えていきましょう。

社会権


1. 導入:6歳の女の子が勝ち取った「教育を受ける権利」

のどに障害があり、定期的な痰(たん)の吸引が必要な6歳の女の子がいました。

彼女は「みんなと同じ保育園に行きたい」と願いましたが、園からは「医療行為にあたる吸引は対応できない」と断られてしまいます。

女の子は「吸引は自分でできるから入れてほしい」と、両親と一緒に裁判を起こしました。

【裁判の判決】

裁判所は女の子の訴えを認めました。 その理由はこうです。

  • 「幼児期は集団生活を通じて、社会生活の素養を身につける重要な時期である」
  • 「保育園に行く機会を失う損害は、お金(金銭賠償)では取り返しがつかない」

この判決の大きな支えとなったのが、日本国憲法第26条の教育を受ける権利です。

日本国憲法第26条

すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。

「ひとしく」という言葉があったからこそ、彼女は学校での学習を保障されたのです。


2. 生存権:朝日さんの「パンツ1枚」をめぐる戦い

次に、社会権の土台となる生存権について学びました。

日本国憲法第25条

すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。

この「健康で文化的な最低限度の生活」が激しく争われたのが、有名な朝日訴訟(あさひそしょう)です。

【朝日茂さんの物語】

重い結核で入院していた朝日茂さんは、国から支給される生活保護の日用品費(月600円)を頼りに生活していました。

当時の600円で国が「最低限」と考えていた生活用品は、驚くべき内容でした。

  • パンツ:1年に1枚
  • 肌着:2年に1着
  • 歯ブラシ:1年に1/2本(2年で1本)

朝日さんは「このような低い基準は人間らしく生きる権利を保障しているとはいえず、生存権違反だ!」と裁判を起こしました。

裁判の結果:

第一審では朝日さんが勝訴しました。 その後、朝日さんは亡くなってしまいましたが、この戦いを通じて国民の意識が高まり、結果として生活保護の基準額は大幅に引き上げられることになったのです。


3. 社会人先生のワーク:あなたの「最低限」はどこ?

授業では、現代の品物についても考えました。

「健康で文化的な最低限度の生活」に、以下のものは必要でしょうか?

  • エアコン(猛暑の現代では命に関わる?)
  • スマートフォン(情報収集や仕事探しに必要?)
  • 冷蔵庫・電子レンジ(自炊に欠かせない?)

「贅沢はできなくても、清潔に暮らせて、住むところに困らない生活」など、みんなで自分なりの基準をノートに書きました。


4. 重要語句の整理

社会権は、大きく分けて以下の3つから成り立っています。

重要語句意味・内容
社会権私たちが人間らしい豊かな生活を送るための権利。
生存権憲法25条。健康で文化的な最低限度の生活を営む権利。
教育を受ける権利憲法26条。すべての子どもが学校で学習する権利。
勤労の権利憲法27条。働く意思がある人が、働く場を求める権利。
労働基本権弱い立場の労働者を守るための3つの権利(労働三権)。

5. 基礎用語の確認問題(5問)

【問1】「健康で文化的な最低限度の生活」を保障する権利を何というか。

【問2】生存権について定めた、日本国憲法の条文は何条か。

【問3】労働者が自分たちの利益を守るために労働組合をつくる権利を何というか。

【問4】労働組合が賃金などの改善を求めて、使用者(会社側)と交渉する権利を何というか。

【問5】要求を実現するために、ストライキなどの団体行動をする権利を何というか。


6. 基礎用語の確認問題の答え

  • 【問1】 生存権社会権
  • 【問2】 第25条
  • 【問3】 団結権
  • 【問4】 団体交渉権
  • 【問5】 団体行動権

7. 高校入試対応:記述問題

【問題】

日本国憲法第25条にある「健康で文化的な最低限度の生活」とは、どのような生活のことを指しますか。あなたの考えを含めて簡潔に説明しなさい。


8. 高校入試対応:記述問題の答え

【解答例】

単に命をつなぐだけでなく、住む場所や食事に困らず、清潔にお風呂に入れたり、教育を受けたりして、人間としての尊厳を保てる豊かな生活のこと。


まとめ:

社会権は、私たちが弱った時や困った時に「助けて」と言える、国との約束です。

生存権、教育を受ける権利、そして労働者を守る労働基本権(団結権団体交渉権団体行動権)。

この3本柱をしっかり覚えておきましょう!

次は、自由や権利を守るために私たちが政治に参加する仕組み、参政権について勉強していきます!

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